ブラックが提唱したオリジナルの分類は1級から5級まででしたが、のちにSimonらによって「6級」が追加され、現在は1級〜6級の全6区分で運用されています。各窩洞の定義と臨床的な特徴を整理します。
■ 1級窩洞(Class I):小窩裂溝部
大臼歯・小臼歯の咬合面にある溝(小窩裂溝)、臼歯部の頬面・舌面にある解剖学的溝(頬側小窩・舌側溝)、上顎前歯の舌面にある盲孔などに発生する窩洞です。平滑面ではなく、構造的にプラークが停滞しやすい溝から発生する点が特徴です。
■ 2級窩洞(Class II):臼歯部隣接面
大臼歯および小臼歯の「隣接面(近心面・遠心面)」に生じる窩洞です。隣接面単独で削合されるケースのほか、咬合面を経由してトンネル状あるいは箱型に形成される複合窩洞(MO・DO・MOD窩洞など)の形態をとることが一般的です。
■ 3級窩洞(Class III):前歯部隣接面(切端を含まない)
切歯および犬歯の前歯部隣接面に発生する窩洞のうち、「切端隅角(切端)」を含まないものを指します。審美性が強く要求される部位であり、隣接面の接触点直下から好発します。
■ 4級窩洞(Class IV):前歯部隣接面(切端を含む)
前歯部の隣接面に発生し、かつ「切端隅角(切端)」まで病変が及んでいる、あるいは切端の喪失を伴う窩洞です。広範囲のう蝕のほか、外傷による歯冠破折の修復時にも本分類が適用されます。咬合圧(剪断力)を直接受けるため、修復物の脱離リスクが高い部位です。
■ 5級窩洞(Class V):歯頸部平滑面
すべての歯(前歯部・臼歯部問わず)の唇面・頬面・舌面(口蓋面)の「歯頸部1/3領域」に生じる窩洞です。小窩裂溝ではなく平滑面う蝕や、くさび状欠損(アブフラクション/摩耗症)に起因する形成が含まれます。
■ 6級窩洞(Class VI):咬頭頂および切端部
ブラックの死後に追加された分類で、臼歯部の「咬頭頂」や前歯部の「切端部」そのものに発生した窩洞です。通常は自浄性の高い部位ですが、エナメル質形成不全や著しい咬耗・摩耗によって露出した象牙質がう蝕化した際に形成されます。