ツールの変化の背景には、SNSにおける視聴者の好みや文化の構造変化が存在する。かつてInstagramで流行した「完璧に作り込まれた自撮り写真」や「自撮り棒の画角特有のパースがついたポーズ」は、現代の視聴者にとって少し時代遅れで演出感が強すぎるものとして映る。
今の流行は、より生々しく、作為のない日常の一瞬だ。友人と偶然笑い合った瞬間、移動中の車窓から見えた景色、自分の視点をリアルタイムで追体験させる一人称動画。ポーズを決めた完璧なカットよりも、その場の空気感を切り取ったかのようなドキュメンタリータッチの写真が支持される時代において、構図を固定化する自撮り棒の存在は、かえってコンテンツの鮮度を損なう要因になりつつある。