体内に埋め込むチップの正体は、長さ約10〜12ミリ、直径約2ミリの円筒形カプセルだ。外側は生体適合ガラスやポリマーで覆われており、内部にアンテナとICチップが封入されている。使われているのは「RFID(無線自動識別技術)」と呼ばれる非接触通信技術だ。
特筆すべきは、チップ自体に電池や電源が一切存在しない点だろう。GPSのような位置追跡機能はなく、専用のリーダー端末をかざした瞬間だけ電磁波に反応し、15桁の個別識別番号を送信する仕組みになっている。国際基準である「ISO 11784/11785規格」に準拠した製品が国内で標準化されており、全国の自治体や医療現場で共通のリーダーによる読み取りが可能だ。
かつては民間団体である「動物ID普及推進会議(AIPO)」が管理主体を担っていたが、法改正に伴い、国のデータベースへの統合が進んだ。技術的な完成度は極めて高いものの、発信機ではなく「電子名札」に過ぎないという技術的限界を正しく理解している飼い主は決して多くない。