この世界的な社会現象の起源を辿ると、2008年の米国に突き当たる。発案者とされるのはブロガーのジェナ・カルヴニディス (Jenna Karvunidis) だ。数度の流産を乗り越えて授かった命を祝福するため、彼女は中にピンク色のアイシングを潜ませたケーキを焼き、Instagramの前身ともいえる当時のブログで公開した。それがすべての始まりだった。
しかし、演出は年を追うごとに過激化の一途をたどる。パイプ爆弾を使った煙の演出が山火事を引き起こし、飛行機を使った危険なパフォーマンスで死者が出る事態まで発生した。過度な性別の二元論の押し付けに対する批判も巻き起こり、カルヴニディス自身も後に「こんな怪物のような流行を生み出すつもりはなかった」とメディアで複雑な胸中を告白している。
こうした海外での紆余曲折を経て日本に上陸したこの習慣は、極めて洗練された形で再解釈された。ド派手な破壊行為ではなく、家族やパートナーとの絆を確かめ合うあたたかなサプライズへ。過激さを削ぎ落とし、純粋な祝福の瞬間として再構築された点に、日本独自の受容スタイルが色濃く表れている。