1954年、アメリカの外科医ジョセフ・マレーが一卵性双生児間での世界初の腎移植を成功させ、ノーベル生理学・医学賞を受賞してから半世紀以上が経過した。彼が切り拓いた移植というフロンティアは、拒絶反応の壁を乗り越え、世界中で無数の命を繋いできた。だが、日本の現状に目を転じると、欧米とは著しく異なる独自の構造が浮き彫りになる。
日本では臓器移植法が存在し、脳死下での臓器提供システムが整備されているものの、公益社団法人日本臓器移植ネットワークを介した献腎移植の待機期間は平均で15年近くに及ぶ。この深刻なドナー不足が原因で、国内で行われる腎移植の大半を生体腎移植が占めるという、世界的に見ても特異な状況が続いている。厚生労働省も啓発活動を推進しているが、ドナーカードの普及や家族承諾のハードルは依然として高く、生体ドナーへの依存度は依然として高い水準にある。