一般的なバナナの指標とされる黒い斑点、いわゆるシュガースポットが出現しただけで満足してはならない。島バナナの本当のクライマックスは、その先にある。沖縄のベテラン栽培農家が口を揃えるのは、「皮の薄さと軸元の弾力」だ。完熟の極致に達すると、果皮は指に吸い付くほど極薄になり、軸の付け根に微細な亀裂が走る。この瞬間、部屋中にエキゾチックな甘い芳香が充満する。
確実にこの極上の状態へ導くための裏ワザが、吊るし保管と密閉追熟の使い分けだ。果皮同士が圧迫されるとそこから黒変して傷みやすいため、紐で吊るして風通しを確保するのが基本姿勢となる。もし熟成を早めたいなら、リンゴやキウイと一緒に紙袋へ入れ、エチレンガスを充満させる手法が極めて有効だ。ビニール袋ではなくクラフト紙袋を使うことで、内部の湿度を適度に逃がし、カビの発生を防ぎながら均一に糖度を高めることができる。