現代のスニーカーカルチャーを振り返るとき、シューレースの変更(シューレーススワップ)が持つ政治的・美学的意味合いは無視できない。その原点であり最大の爆発点となったのが、ヒップホップアイコンのトラヴィス・スコットとナイキによる伝説的なコラボレーションだ。エア ジョーダン 1のダークトーンのレザーに、あえてヴィヴィッドなピンクの紐を通したあのスタイルは、世界中のコレクターに強烈な衝動を与えた。
さらに、故ヴァージル・アブローが展開したOff-Whiteのデザインアプローチもこの流れを加速させた。引用符で括られたグラフィックや型破りなカラーリングのコントラストは、「スニーカーは完成品として履くもの」という既成概念を崩壊させたのだ。伝統的なストリートウェアの文脈に突如として投入されたピンクは、相反する要素を調和させる触媒として機能している。