千尋を支える脇を固めるキャスト陣の完成度も、本舞台が歴史的傑作と呼ばれる所以です。
まず注目を集めるのがハク役の歴代キャスト陣です。醍醐虎汰朗は少年特有の繊細さと龍としての気品を端正なビジュアルで好演し、三浦宏規はクラシックバレエで培った完璧な身のこなしと跳躍で、浮世離れしたハクの神性を妖艶なまでに表現しました。さらに増子敦貴が加わったことで、凛とした強さと切なさを併せ持つ新たなハク像が提示され、各回で客席からため息が漏れるほどの美しさを放っています。
そして、劇場の空気を一変させるのが湯婆婆/銭婆役です。アニメ映画版で声優を務めたご本人である夏木マリが舞台上に現れた瞬間の説得力は凄まじく、「本物がそこにいる」という圧倒的オーラで観客を平伏させます。巨大パペットと一体化しながら炸裂させる声量は、劇場の天井を揺るがすほどの迫力です。
一方、ダブルキャストを務める名声優・舞台女優の朴璐美は、圧倒的な芝居の熱量と狂気、そして銭婆として見せる慈愛のコントラストを鳥肌モノの技術で描き出しました。これに羽野晶紀や春風ひとみといった芸達者が加わり、回ごとに異なる緊張感とユーモアが劇場を満たしています。