安倍元首相の家系を辿れば、母方の祖父である岸信介元首相、大叔父の佐藤栄作元首相、そして父の安倍晋太郎元外相と、いずれも東京帝国大学(現・東京大学)を卒業した超エリートの血筋である。しかし、安倍晋三という個人が選んだ教育環境は、そうした「東大=官僚=政治家」という一本道のルートとは一線を画していた。
成蹊学園は、大正時代に創立された自由で個性を重んじるリベラルな校風で知られる。少人数教育と「凝視と力行」を指針とするこのキャンパスで、小学校から大学までの16年間を過ごした。官僚的なペーパーテストの数値を競い合う世界ではなく、武蔵野の豊かな自然環境の中で育まれた人間関係と大らかな風土。それが、後年の彼に見られた「敵味方を明確に分けつつも、内内の結束を極めて強固にする」政治スタイルの原体験になったという指摘は少なくない。