ブームを決定づけたのは、間違いなく映像メディアにおける奇跡的なケミストリーだ。『孤独のグルメ』で寡黙に食と対峙し続ける孤高の表現者・松重豊と、故郷・福岡の美味を愛嬌たっぷりに語り尽くす博多華丸。この対照的な二人がタッグを組んだ特別番組『うまか探訪記』の放送は、視聴者の心を一気に鷲掴みにした。
劇中で二人がふと漏らす「うまか」の感嘆詞には、台本通りのセリフでは決して生み出せない圧倒的な説得力が宿る。湯気立つ水炊きのスープをすすり、目を細める松重の横で、華丸が満面の笑みで頷く。その何気ない一瞬が切り取られ、瞬く間に無数のクリップとして拡散されていった。名優たちの飾らない舌鼓が、画面の前の観客を虜にした瞬間だった。