手塚治虫文化賞の授賞式から間もない2018年8月、塩野郁子さんは静かにこの世を去りました。享年91歳。死因は病気および老衰でした。
体調を崩して入院した際も、矢部さんは足繁く病院へ通い、手を握りながら声をかけ続けました。別れに際し、矢部さんは「もっと一緒にいたかった、もっとお話ししたかった」と深い喪失感を吐露しながらも、彼女から受け取った無数の愛への感謝を語っています。
その後、矢部さんは別れの悲哀と再生を描いた続編『大家さんと僕 これから』を発表。大家さんを見送った後も、絵本や漫画の創作活動を精力的に続け、表現者としての確固たる地位を築いています。塩野さんとの出会いは、矢部さんの人生とキャリアを決定づける転換点となりました。