川崎重工業社内で二輪事業を担っていた「モーターサイクル&エンジンカンパニー」は、分社化によってカワサキモータース株式会社という独立した法人として新たなスタートを切りました。この決断に至った最大の理由は、重工業と一般消費者向けビジネスの決定的なスピード感の違いにあります。
川崎重工本体が手掛ける造船、航空宇宙、鉄道車両、大型プラントといった事業は、国家規模のプロジェクトや企業間取引(BtoB)が中心であり、数年単位の計画と慎重な意思決定が求められます。一方で、モーターサイクル市場はファンの嗜好の移り変わりが早く、流行やデジタルマーケティング、グローバルな需要変動に即応しなければ勝ち残れません。
大企業の複雑な稟議プロセスから二輪部門を切り離し、独立会社とすることで、商品開発、サプライチェーンの再構築、異業種とのアライアンスを迅速化することが分社化の核心でした。いわば守りの撤退ではなく、激変する世界のモビリティ市場を勝ち抜くための「攻めの独立」だったわけです。