女子プロレスの歴史において、アイドルのような人気を博した選手は常に時代のアイコンとなってきた。1970年代のマッハ文朱やビューティ・ペア、80年代のクラッシュ・ギャルズ旋風は日本中を巻き込む社会現象だった。『極悪女王』で描かれたあの熱狂と、令和のムーブメントには明確な違いがある。
かつてのアイドルレスラーは、過密日程と過酷な掟の中で「作られた偶像」としての側面も強かった。しかし現代のレスラーたちは、自分自身のプロデュース権を自ら握っている。SNSを駆使して自己の魅力をダイレクトに発信し、コスチュームのデザインや入場曲の選定に至るまで、自らのアイデンティティを自由に表現する。
「かわいい」は消費される客体ではなく、リングで戦うための誇り高き武装なのだ。自己肯定感とアスリートとしての誇りを胸に戦う彼女たちの姿は、男性ファンのみならず同世代の女性ファンからも強い共感を集めている。