旅行前の下調べで多くの人が目にして不安を抱くのが、「湯の坪街道は食べ歩きが禁止になったのか?」という疑問です。ネット上では様々な憶測が飛び交っていますが、行政や観光協会のガイドライン、現地の取材データを精査すると、法的な罰則を伴う一律の全面禁止令が出されているわけではありません。
では、なぜ湯の坪街道の食べ歩き禁止の理由がこれほど取り沙汰されるようになったのでしょうか。その背景には、オーバーツーリズムに起因する深刻な地域課題があります。
湯の坪街道は道幅が狭く、ピーク時には歩行者で溢れかえります。その状況下で串物や汁物、アイスクリームなどを食べながら歩くと、他人の衣服やすれ違う荷物を汚してしまうトラブルが多発しました。さらに、容器や串のポイ捨てによる景観破壊、カラスによるゴミの散乱など、地元住民の生活環境への悪影響が表面化したのです。
現在、地域が掲げている方針は「歩きながらの飲食(歩行飲食)の自粛」と「購入した店舗の敷地内、またはイートインや指定ベンチでの飲食」の徹底です。店先にゴミ箱やベンチを設ける店舗が増えており、購入した場所で味わい、その場でゴミを回収してもらうスタイルが標準マナーとして定着しています。「街全体での飲食が禁止された」と極端に解釈するのではなく、「美しい景観と他者への配慮を守るためのマナー向上キャンペーン」と理解するのが正確です。