艶やかな着物に身を包んだ土佐芸妓が広間に姿を現すと、場の空気が一変する。張り詰めた緊張感ではない。どこか懐かしく、温かい華やぎが満ちていく。
土佐の伝統芸能・お座敷遊びは、見るだけの芸にとどまらない。客を巻き込み、座全体をひとつの渦にしていく。「可杯(べくはい)」では、底に穴の空いた杯や天狗・ひょっとこの面を模した杯に酒が注がれ、飲み干すまで下に置くことが許されない。「箸拳(はしけん)」の鋭い掛け声が響き、負ければまた一献。勝っても負けても笑いが弾ける。京都の花街とは一味違う、開放的で底抜けに明るい社交場。それが土佐芸妓の真骨頂だ。