日本伝統食文化の粋を集めた京料理は、引き算の美学によって磨かれてきた。しくらでは、その古典的な基礎を完璧に踏襲した上で、現代的な解釈を加えた割烹料理を展開する。利尻昆布と選び抜かれた鰹節から丁寧に引かれた一番出汁は、雑味が一切なく、食材本来の輪郭を鮮やかに際立たせる。
懐石料理の持つ厳格な流れを大切にしつつも、器の選定や温度変化の演出には現代アートのような遊び心が光る。春の山菜の苦味、夏の鱧の淡白な旨味、秋の松茸の薫香、冬の蕪の甘味。日本の四季が持つ繊細な表情が、料理人の包丁さばきによって皿の上に立体的に描き出されていく。