日本の伝統刺青を芸術の域へと昇華させた立役者といえば、世界的にその名を知られる三代目彫よし氏だ。半世紀以上にわたり手彫りの伝統を守り抜き、日本の肌に彫る文化を世界の美術界へと認めさせた重鎮である。手彫りならではの深く柔らかな墨のグラデーション、そして生き物のように肌の上で動く筋彫りの技術は、息を呑むほどの迫力を誇る。
長年、秘伝とされてきたその技法と精神は、国内の日本伝統刺青協会をはじめとする硬派な職人組織や一門へ脈々と継承されている。機械化が進む現代にあっても、一本の針に魂を込め、顧客の生き様と向き合いながら手で彫り進めるスタイルは揺るがない。般若の額のシワ一つ、瞳の光の入れ方一つに職人の美学が宿り、単なるタトゥーを超えた一世一代の護符が生み出される。