冷静に現代の法的観点から照らし合わせると、「他人のバイクを無断で走らせる」行為は明確な違法行為です。刑法第235条の窃盗罪、あるいは一時的な拝借であっても不法領得の意思が認められれば重い罪に問われます。さらに、15歳の中学生が無免許で公道を走行すれば道路交通法違反(無免許運転)となり、現代であれば家庭裁判所送致や保護観察処分の対象となる重大な非行です。
しかし、この楽曲が生まれた1980年代初頭の日本は、深刻な校内暴力や過熱する受験戦争、校則による徹底的な生徒の管理が社会問題となっていた時代でした。若者たちは言葉にできない重圧に晒され、その反動として「ツッパリ」や「非行」という形でしか自己表現ができない歪みを抱えていたのです。
尾崎豊の楽曲は、そうした時代背景における若者のやり場のない怒りや痛みを完璧にトレースしていました。単なる不良の自慢話ではなく、社会のルールに絡め取られそうな魂の悲鳴として響いたからこそ、社会現象と呼べる支持を集めたのです。