伊勢崎のピッツァシーンを語る上で、薪窯の存在を外すことはできない。450度を超える高温の窯内で、わずか60秒から90秒の間に焼き上げられるナポリピッツァ。窯前で長柄のパーラーを操る職人の瞳は真剣そのものだ。
生地の気泡が美しく膨らんだコルニチョーネ(縁)には、見事な虎模様の焦げ目が刻まれる。外側はクリスピーで香ばしく、内側は驚くほど軽やかでモチモチとした水分量を保つ。ミルキーな水牛モッツァレラと、フレッシュな酸味が弾けるサンマルツァーノ種のトマトソース。そこに群馬県産バジルが放つ青い香りが重なり、口の中で渾然一体となる。シンプルな料理だからこそ、誤魔化しが一切利かない。職人たちのストイックな手仕事が、この街のピッツァ水準を全国レベルへと押し上げている。