音楽的な見どころは、計算された破綻とでも呼ぶべき奇跡的なアンサンブルにある。90年代オルタナティヴ・ロックの黄金期を予感させる歪んだフィードバックノイズは、キム・ゴードンとドン・フレミングの手によるプロダクションの結晶だ。歪んだ重低音と、引き裂くような高音ギターが複雑に交錯する。
歌詞に込められたフェミニズム、身体性、そして社会に対する鋭い悪意と皮肉。ただ暴れているだけではない。美しさと汚濁が表裏一体となったトラックの数々は、聴く者の倫理観を試すかのようだ。「Babydoll」や「Garbage Man」で見せる狂気のグラデーションは、今聴いても一切色褪せることがない。