老練な武道家である武天老師(亀仙人)が発する「うーむ 負けそうじゃ」という言葉。一見すると自嘲気味な諦めにも聞こえるが、その本質はまったく異なる。自らの限界を正確に把握しつつも、相手の強さを正面から認め、その上で次の一手を思考する高度な心理戦のあらわれなのだ。
かつての天下一武道会において、ジャッキー・チュンとして変装した武天老師は、若き孫悟空やクリリンに対し「上には上がいる」ことを身をもって教え込んだ。限界を超えた攻防の中で漏れたこの台詞は、絶望の表明ではなく、武道家としての純粋な武者震いであり、弟子たちの成長を歓喜する師の素顔であった。