台湾問題と並び、現代の安全保障上の火種となっている尖閣諸島の法的地位も、この条約の記述と深く結びついている。条約第3条において、日本は南西諸島(沖縄および尖閣諸島を含む)をアメリカの施政権下に置くことに同意した。この事実は、尖閣諸島が日本が放棄すべき領土(第2条)には含まれず、日本領として留保された上で米国に施政権が託されたことを意味する。
その後、1972年の沖縄返還協定によって施政権が日本に返還されたことで、日本側は「国際法上も明確に日本固有の領土である」との確固たる法的立場を確立した。しかし、中華人民共和国外交部は「尖閣諸島(中国名:釣魚島)は台湾の付属島嶼であり、日本が放棄すべきであった領土に含まれる」と主張を展開する。
中国側は、サンフランシスコ平和条約自体が自国の不参加によって無効であるため、第3条に基づく米国の施政権設定やその後の日本への返還手続きも法的効力を持たないという論証を立てる。歴史文書と国際法解釈の根深い食い違いが、東シナ海における緊迫した現場の対立へと直結しているのだ。