「go for it」の意味を「頑張って」だけだと思っていませんか?実はネイティブの日常会話やビジネスでは、場面で全く異なるニュアンスになる決定的な理由があります。失礼にならない使い方や返事の例をわかりやすく解説します。
最大の理由は、日本語の「頑張って」が「すでに努力している人、あるいはこれから苦労する人への激励全般」をカバーするのに対し、英語のgo for itの意味と使い方は「迷っている人が一歩を踏み出す瞬間」または「目の前にあるものを手に入れる瞬間」に限定されている点にあります。
前置詞の「for」には「〜に向かって(ターゲットに狙いを定めて)」という方向性のコアイメージがあり、「go for it」を直訳すると「それ(目的物・目標)に向かって突き進め」となります。語源をたどると、1970年代後半のアメリカンフットボールやアイスホッケーなどのスポーツ中継において、第4ダウンでパント(守備的なキック)を選ばずに強行突破を図る戦術や、ゴールに向かって果敢にシュートを狙うプレーを指すスラング表現の語源と真相に行き着きます。その後、1980年代のロサンゼルス周辺の若者言葉(Valley Girl slang)を経て、「リスクを恐れずに欲しいものを掴み取れ」「迷っているならやってみなよ」という日常表現として英語圏全体に定着しました。
現在のネイティブのニュアンスを分解すると、大きく以下の3つの場面に集約されます。
- ①「やってみなよ!/挑戦してみなよ!」(迷っている相手の背中を押す)
転職しようか、髪を切ろうか、新しいプロジェクトに立候補しようかと「やるか、やらないか」で迷っている相手に対し、「迷うことないよ、挑戦してみなよ!」と決断を後押しする最も代表的な使い方です。 - ②「どうぞ!/遠慮なく食べて(使って)いいよ!」(軽い許可・快諾)
日本の英語学習者が最も驚くのがこの用法です。「最後のピザ食べていい?(Can I have the last slice of pizza?)」「充電器を借りてもいい?(Mind if I use your charger?)」と聞かれた際、「Go for it!(どうぞどうぞ、遠慮なくいっちゃって!)」と返答します。「目の前のピザ(it)に向かって手を伸ばせ(go for)」という視覚的なユーモアが含まれています。 - ③「全力で勝ち取ってこい!」(ここ一番の勝負への鼓舞)
オーディションや決勝戦の直前など、明確なターゲット(勝利・合格=it)が目の前にあり、それを掴み取るために全力を出すよう鼓舞する場面です。すでに毎日コツコツ勉強している受験生や、体調を崩して療養している人に「頑張って」のつもりで「Go for it!」と言うと、「何を今さら突撃しろと言うのか?」と相手を困惑させてしまいます。