これほど苛烈な苦痛を伴い、社会生活を破壊する疾患であるにもかかわらず、群発頭痛 難病指定 されない理由の根底には、厚生労働省が所管する「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」における厳密な制度的ハードルが存在します。
指定難病として認定され、医療費助成の対象となるためには、厚生労働省の指定難病検討委員会において以下の基本的要件をすべて満たす必要があります。
1つ目は「発症の機構が明らかでないこと」、2つ目は「治療方法が確立していないこと」、3つ目は「患者数が本邦において人口の0.1%程度(およそ10数万人以下)に達しないこと」、4つ目は「長期の療養を必要とすること」。ここまでは群発頭痛の実態と合致しているように見えます。しかし、最大の壁となっているのが「客観的な診断基準(またはそれに準ずる基準)が確立していること」という要件です。
群発頭痛の診断は、国際基準に沿った綿密な問診と臨床症状の観察によって行われます。しかし、MRIやCTなどの画像診断を行っても脳内に器質的異常は見つからず、血液検査や生体生検においても固有のバイオマーカー(異常数値)が特定されません。「どれほど激烈な痛みであっても、痛みそのものは主観的症状であり、検査機器の数値として客観的に証明できない」という現行の医学審査上の原則が、大きな障害として立ちはだかっているのです。
加えて、多くの群発頭痛患者は発作が連日続く「群発期」と、数か月から数年間にわたり症状が消失する「寛解期」を交互に繰り返す間欠型の経過をたどります。検討委員会では「年間の大半を占める寛解期が存在する場合、制度が規定する『長期にわたり継続的な療養を必要とする状態』に該当するのか」という継続性の判断を巡っても議論が分かれ、結果として指定難病への指定が見送り続けられてきた経緯があります。