『BLEACH』の世界における鬼道は、詠唱手順を省略する「詠唱破棄(えいしょうはき)」を行うことで即座に発動できる反面、術本来の威力はおよそ3分の1程度にまで低下するのが基本原則です。
しかし、藍染惣右介の規格外な戦闘力は、この法則すらも読者の認識を揺るがす演出へと変貌させました。尸魂界篇で初めて黒棺が使用された際、藍染は詠唱破棄の状態で放ち、護廷十三隊の隊長格である狛村左陣を一撃で戦闘不能に追い込みました。「威力の3分の1未満」でありながら隊長を一瞬で沈めたこの描写により、藍染の底知れない強さが決定づけられました。
一方で、破面篇の空座町決戦で披露された完全詠唱の黒棺は、術の威力を100%引き出した状態です。黒棺の周囲一帯の空間そのものが歪み、重力奔流が巨大な黒塔となって天へ突き刺さる光景は、詠唱破棄時とは文字通り次元の違う破壊規模を見せつけました。