「鼻をかむ」漢字は噛むではない?手偏の難読「擤む」の由来と真実

「鼻をかむ」漢字は噛むではない?手偏の難読「擤む」の由来と真実

「鼻をかむ」漢字は噛むではない?手偏の難読「擤む」の由来と真実の真相について、専門知識を詳しくお届けします。

「擤」という漢字の成り立ちを分解すると、その構造の必然性に誰もが膝を打つ。左側にある擤 部首は手紙や手作業を意味する「扌(てへん・手)」であり、右側の旁(つくり)には「鼻」がそのまま収まっている。手偏に鼻という組み合わせは、指先や手にした紙を使って鼻を抑え、鼻汁を外へ排出する人間の身振りをダイレクトに象形・会意化したものだ。

字画を数えてみると、手偏(3画)に鼻(14画)を合わせて擤 画数は合計17画に達する。漢字の難易度体系において、この文字は常用漢字はおろか人名用漢字にも含まれておらず、漢検1級 擤むとして配当されている。まさに日本語における最高峰の難読漢字の一つといえる。

では、そもそも大和言葉の「かむ」という音はどこから来たのだろうか。鼻をかむ 語源には諸説あるが、言語学的には以下の2つの有力な仮説が語り継がれている。

第一に、「息を強く吹き出す」「力を込める」という意味の古語「気吹く(いぶく)」や「噛む(力を込めて合わせる)」と同根であり、鼻を紙で強く挟み込んで力を込める動作そのものから派生したとする説。第二に、鼻汁を指す古語「洟(はな)」を取り除く行為を表す擬音・擬態語的な動作音から転じたとする説だ。毎日新聞の校閲担当者が運営する『毎日ことばplus』の解説によれば、古くは器官としての「鼻」と、分泌物である鼻汁としての「洟(はな)」は厳密に区別されていた。本来の文章作法から見れば「洟を擤む」と書くのが最も原義に近いが、「洟」も常用漢字外であるため、現代では「鼻をかむ」と表記されるのが一般的となっている。

中島 亮太
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中島 亮太

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