インターネット上の掲示板や情報共有サイトでは、那須の廃ホテルにまつわる怪談や怪奇現象の噂が絶えない。全国の物件情報や位置データを網羅するデータベースサイト「廃墟検索スパイダー」などでも頻繁に取り上げられ、特定の部屋で謎の物音が聞こえる、あるいは写真を撮ると不可解な光が写り込むといった都市伝説が日夜一人歩きしている。
しかし、現地での独自取材や専門家へのヒアリングによって明かされた現実は、そうしたオカルトとは大きく異なる。静寂のなかで響く異音の正体は、壊れたエレベーターシャフトを吹き抜ける強風や、館内に侵入した野生動物の足音であるケースがほとんどだ。不気味な噂の多くは、立ち入り禁止区域への関心を惹きつけるためにネット上で過剰に脚色されたものであり、実際の現場に存在するのは放置された建築物の物理的な老朽化と風化という冷徹な事実である。