あやめ池遊園地を語る上で欠かせないのが、園内に併設されていた「あやめ池円形大劇場」とOSK日本歌劇団の存在です。宝塚歌劇団と並び称された名門劇団・OSKは、1950年(昭和25年)からあやめ池を本拠地とし、「春のおどり」「秋のおどり」などの華麗なグランド・レビューを半世紀以上にわたり上演し続けました。
湖面を渡る風を感じながら劇場へと向かい、満開の桜や秋の菊人形展とともに楽しむ舞台鑑賞は、関西の春・秋の風物詩として定着していました。当時の観劇録やファンの手記には、「トップスターの凛々しい立ち姿と客席との親密な距離感は、あやめ池ならではの宝物だった」と記されています。親会社である近鉄の支援打ち切りと遊園地閉園に伴い、劇団は一時解散の危機に直面しましたが、団員とファンの署名・存続活動によって独立組織として復活を果たし、その伝統は今なお受け継がれています。
一方、遊具面でも記憶に残る名アトラクションが揃っていました。
- 池上ジェットコースター:菖蒲池の湖面すれすれをダイナミックに疾走し、水面へ飛び込むようなスリルで大人気を博した看板コースター。
- スカイサイクル&大観覧車:池全体と四季折々の自然景観を一望できるパノラマビューがカップルやファミリーに愛された定番ライド。
- あやめ池お化け屋敷:夏休み期間の定番として、昭和レトロなおどろおどろしい演出が語り草となった人気スポット。
- 動物園・小動物コーナー:ポニーの乗馬体験や水鳥とのふれあいが楽しめる、緑豊かな憩いのエリア。
当時の写真資料やアルバムを見返すと、自然豊かな池の地形を巧みに生かしたレイアウトが特徴的であり、都会の無機質なアミューズメント施設とは異なる「水と緑のオアシス」としての魅力が溢れていました。