ウェスカーを語る上で、クリス・レッドフィールドの存在を切り離すことはできない。洋館事件でラクーン市警特殊部隊「S.T.A.R.S.」を裏切って以来、二人の男は互いの存在意義を削り合うように激突を繰り返してきた。正義と狂気、人間性と超越への欲望。この二極の対立こそが、シリーズを長年駆動してきた動力源にほかならない。
近年のメインストーリーにおいてクリスが見せる苛立ちや影の濃さは、宿敵の亡霊に今も囚われている証左とも解釈できる。失われた戦友たちの記憶、崩壊した倫理観、そして終わりなきバイオテロ。ウェスカーという巨大な悪が不在の舞台で、クリスは何と戦い続けているのか。もし宿敵が何らかの形で再び姿を現すなら、それはクリスという英雄の終着点を決定づける契機となるはずだ。