「春隣」という文字を目にすると、多くの人が「春の季語」だと直感的に思いがちです。しかし、俳句の歳時記において春隣は明確に「冬(晩冬)」の季語として分類されています。
なぜ春の文字が入りながら冬の季語とされるのか。その理由は、「立っている現在地」にあります。「隣」という言葉は、自分自身がその場所にいるのではなく、すぐそばの場所に何かが存在している状態を指します。つまり、「自分自身はまだ凍てつく冬の真っただ中にいるものの、すぐ隣の部屋や隣町まで春がやって来ている」という感覚を表現しているため、季節区分としては冬になるのです。
時期としては、二十四節気の「大寒(1月20日頃)」から「立春(2月4日頃)」の前日までの晩冬(1月下旬から2月初旬)にあたります。一年で最も気温が下がり、寒波が厳しさを増すタイミングだからこそ、わずかに伸びた日脚や日だまりの温かさに「春の気配」を敏感に感じ取る、日本独特の繊細な美意識が反映されています。