隠岐の魅力は海洋地形だけにとどまりません。島根半島から約50〜80km離れた絶海の環境は、独自の生態系と固有の信仰文化を育んできました。その真髄を体感できるのが、島後を代表するパワースポット群です。
隠岐総社である玉若酢命神社 八百杉(たまわかすみことじんじゃ・やおすぎ)は、国の重要文化財に指定されている本殿の「隠岐造」が静謐な威厳を放ちます。境内にそびえる八百杉は樹齢2000年を超えるとも言われる国指定天然記念物で、根本周囲は約20mに達します。かつて人魚の肉を食べて不老不死を得た八百比丘尼が手植えしたという伝説が残り、大樹の根元に立つと周囲の空気感が一変するほどの生命力を肌で感じることができます。
さらに内陸の山深くへと車を走らせると、日本の滝百選・名水百選にも選ばれている壇鏡の滝 パワースポット(だんぎょうのたき)が現れます。屏風のようにそそり立つ岩壁から落差約40mで流れ落ちる滝で、かつては滝の裏側に回り込んで飛沫越しに景色を眺められる「裏見の滝」として知られていました(※崩落防止等の現場規制状況により立ち入り範囲が制限される場合があるため、最新の現地看板の指示に従ってください)。滝の左右には神社が鎮座し、島内の闘牛(隠岐の牛突き)の前に牛にこの名水を飲ませて必勝を祈願する風習が今も受け継がれています。
地質学的にも貴重な隠岐ジオパーク 見どころは、2億5000万年前から続く日本列島の形成史そのものです。かつてユーラシア大陸の一部だった岩盤がプレート運動で裂けて湖になり、日本海が誕生して海中に沈み、火山活動を経て再び隆起して離島となった痕跡が、剥き出しの地層として目の前に迫ります。植物学においても、南方系のトベラと北方系のハマナス、高山植物が同一標高に自生するという世界的にも極めて稀有な植生分布が観察できます。