金融工学の計算上ではスマートに見えた商品も、実際の投資家の現場では深刻な苦悩を生み出しています。SNSや掲示板、投資コミュニティで交わされるグローバル3倍3分法ファンドの評判やネットの反応を検証すると、多くの受益者が共通の心理的落とし穴にはまっていたことが分かります。
ネット上の掲示板やSNSでは、「リスク分散されているという言葉を鵜呑みにして退職金を投じてしまった」「基準価額が3,000円台まで下がり、もはや見るのも辛い」といった悲痛な書き込みが相次いでいます。ある個人投資家は、運用報告書を前に次のような手記を残しています。
「当初は隔月でまとまった分配金が振り込まれ、銀行預金よりはるかに優れていると信じ込んでいた。だが、数年経って証券口座を開いて驚愕した。受け取った分配金の合計額をはるかに上回るペースで元本が削られ、資産残高は半分近くに減っていた。『分配金は利益ではなく自分の貯金を取り崩していただけだった』と気づいたときには、手遅れになっていた」
行動経済学において、人間は「全体の資産評価額」よりも「定期的に手元に入ってくる現金」を過大に評価してしまう「メンタル・アカウンティング(心の会計)」のバイアスを持つとされます。本ファンドの隔月分配型は、この認知の歪みを突く形となり、元本が急速に溶けている現実に気づくのを大幅に遅らせる結果となったのです。