「全都道府県に国立大学があるというのは本当なのか」という疑問に対し、公的な大学設置統計は明確な答えを出している。文部科学省の管轄下にある国立大学法人は、2026年10月の東京科学大学(東京工業大学と東京医科歯科大学が統合)誕生などの再編を経た2026年現在も、全国に86大学が存在し、47都道府県のすべてに最低1校が配置されている。
それにもかかわらず、なぜ「国立大学のない県」という言説がネット上で定着したのか。最大の引き金となっているのが、「県名=国立大学名」という思い込みと、私立大学による県名使用のケースだ。知恵袋や大手掲示板などのネット上の反応を検証すると、受験生や保護者が混乱に陥る典型的なパターンが浮かび上がってくる。
「栃木県には『栃木大学』がないから、国立大学が存在しないと思っていた」「神奈川大学が私立だと知って驚いた。では神奈川の国立はどこなのか」といった声は後を絶たない。事実、栃木県の国立大学は宇都宮大学であり、神奈川県は横浜国立大学(および大学院大学である総合研究大学院大学)である。同様に、兵庫県は神戸大学や兵庫教育大学、愛知県は名古屋大学や愛知教育大学・名古屋工業大学・豊橋技術科学大学が担っており、沖縄県は琉球大学が国立の中核を成している。
さらに混迷を深める要因として、「神奈川大学」「愛知大学」「沖縄大学」「兵庫大学」といった、県名を冠した大規模・伝統的な私立大学がすでに存在している事実が挙げられる。これにより「県名を冠する大学=国立」という一般的な固定観念を持つ層が、私立と知った瞬間に「ではこの県には国立がないのか」と短絡的な誤解を生み出す構図が定着してしまったのだ。