心不全の重症度や病態ステージを的確にアセスメントするためには、自覚症状に基づく分類と、客観的な血行動態パラメータに基づく分類の双方を理解し、関連図の評価指標として組み込むことが求められます。
自覚症状と日常生活の制限度を評価する指標として世界的に用いられているのがNYHA心機能分類です。身体活動能力に応じて以下の4段階に分類されます。
- NYHA I度:心疾患はあるが日常生活活動では無症状。通常の身体活動では過度の疲労、動悸、呼吸困難などを生じない。
- NYHA II度:安静時は無症状だが、階段昇降や坂道歩行など通常の日常生活活動で疲労、動悸、呼吸困難などの症状が出現し、軽度の活動制限がある。
- NYHA III度:安静時は無症状だが、平地歩行や着替え・入浴など通常以下の軽い労作でも強い症状が出現し、明らかな活動制限がある。
- NYHA IV度:いかなる身体活動も苦痛を伴い、安静にしていても心不全症状や狭心痛が出現する。
急性期や病棟管理において循環動態の重症度を把握する際には、フォレスター分類と血行動態の関連が不可欠です。フォレスター分類は、肺動脈楔入圧(PCWP:18mmHgを基準とし、肺うっ血の有無を評価)と心係数(CI:2.2L/min/m²を基準とし、末梢循環不全の有無を評価)の2軸から4つの病態群(サブグループ)に分類します。
- I群(PCWP≦18, CI>2.2):うっ血も低心拍出もない正常〜軽症群。
- II群(PCWP>18, CI>2.2):肺うっ血が主体の病態(温かく湿った状態:Warm & Wet)。利尿薬や血管拡張薬が適応となる。
- III群(PCWP≦18, CI≦2.2):末梢循環不全・低灌流が主体の病態(冷たく乾いた状態:Cold & Dry)。輸液による前負荷の適正化を考慮する。
- IV群(PCWP>18, CI≦2.2):肺うっ血と低拍出が併存する心原性ショック状態(冷たく湿った状態:Cold & Wet)。強心薬、血管拡張薬、補助循環装置(IABPやECMO等)を用いた集中的な治療が必要。
関連図を作成する際は、受け持ち患者の検査データ(Swan-Ganzカテーテル値、心エコーのEF値、BNP/NT-proBNP値)や臨床所見(四肢の冷感、毛細血管再充満時間、チアノーゼの有無)がフォレスター分類のどの病態に該当しているのかを紐付けることで、現在行われている輸液管理や薬物療法の妥当性が論理的に説明できるようになります。