妊娠を阻む二大要因である「深部体温の低下(冷え)」と「ホルモンバランスの乱れ」に対し、臨床現場では患者固有の証(しょう)に応じた処方が厳密に選択される。日本東洋医学会などの学術集会でも、主要処方の有効性に関するデータが蓄積されてきた。
代表格である「当帰芍薬散」は、色白で筋肉量が乏しく、冷えとむくみを併せ持つ虚証タイプの第一選択薬だ。補血と利水作用により、黄体機能の維持や子宮内膜の血流増加を促す。
一方で、手足は冷えるのに顔がほてる、皮膚が乾燥し唇がかさつくといったタイプには「温経湯」が著効を示す。下腹部を深部から温め、排卵障害や月経不順を改善する独自の処方設計がなされている。
また、比較的体力があり、下腹部に圧痛を伴う抵抗感がある瘀血傾向の強い女性には「桂枝茯苓丸」が適する。骨盤内の鬱血を取り除き、受精卵が着床しやすい環境を物理的に整える役割を果たす。