なぜ鶏レバーはここまで慎重に扱われなければならないのか。その理由は、桁外れに含まれるビタミンAの存在にある。鶏の肝臓は体内の栄養貯蔵庫であり、植物由来のベータカロテンとは異なり、動物性食品に含まれるレチノール型ビタミンAが極めて高濃度に凝縮されている。
水溶性ビタミンと違い、脂溶性であるビタミンAは過剰に摂取しても尿として排出されない。体内にどんどん蓄積し、やがて骨や関節の変形、骨棘(こつきょく)の形成、持続的な歩行障害、激しい首の痛み、食欲不振、脱毛などを引き起こす「ビタミンA過剰症」を発症させる。一度骨格が変形してしまうと、食事を改善しても元の状態に戻すことは困難を極める。
もちろん、功罪の「功」も凄まじい。赤血球の生成を助け貧血を予防する良質な鉄分をはじめ、皮膚や粘膜のバリア機能を高める微量元素、エネルギー代謝に直結するビタミンB群や亜鉛がぎっしり詰まっている。貧血気味のシニア犬や運動量の多い使役犬にとって、計算されたレバーの補給は劇的な活力向上をもたらす。薬にするか毒にするかは、ひとえに与え手の計量にかかっている。