時計の針を少し巻き戻そう。彼女のキャリアにおける最初の頂点は、濱口竜介監督による映画『寝ても覚めても』だった。ヒロインとして放った無垢で不穏な引力は、日本映画界のみならず世界を震撼させ、カンヌ国際映画祭のレッドカーペットを堂々と歩くまでに至った。
しかし、その直後に訪れた暗転。スキャンダルは一瞬にして彼女の足元を崩し去り、所属事務所であるフラームのバックアップのもとでも、表舞台から姿を消さざるを得ない日々が続いた。映画館でのアルバイトや裏方作業を手伝いながら、自らの内面と向き合う長い潜伏期間。世間からの猛烈な風当たりの中、彼女が選んだのは弁明ではなく、演技の基礎を徹底して学び直す沈黙の道だった。