須磨浦山上遊園を語る上で避けて通れないのが、山頂へ向かう名物輸送機関「カーレーター」です。全長91メートル、勾配25度のトンネル内を2人乗りのカゴ型ゴンドラに乗って約2分20秒かけて登るこのシステムは、ベルトコンベアの上に直接座席を載せて運ぶ極めて特殊な構造を持っています。
日本コンベヤが開発したこの乗り物は、かつて国内複数箇所や海外にも設置されましたが、メンテナンスの難しさや乗り心地の問題から次々と姿を消しました。現在も営業運行を続けているのは世界中で須磨浦山上遊園の1機のみという、極めて貴重な近代化産業遺産でもあります。
実際に乗り込むと、スタート直後からガクンという強烈な突き上げとともに、小刻みな縦揺れが腰と背骨にダイレクトに伝わります。乗り場には「乗り心地の悪さは日本一」「妊婦の方や腰の悪い方はご遠慮ください」という異例の注意喚起看板が掲げられており、誇張抜きの荒々しい振動が全身を襲います。しかし、この予測不能な揺れこそが現代のアトラクションにはない爆笑と連帯感を生み出し、リピーターを惹きつける最大の要因となっています。