日本の児童文学シーンにおいて、2000年代以降の潮流を決定づけたのが講談社から刊行された講談社青い鳥文庫の看板シリーズだ。作家の石崎洋司が生み出したテンポの良すぎる掛け合いと、緻密に練られたオカルト蘊蓄。そこに命を吹き込んだのが、イラストレーター藤田香の描くゴシックでポップなビジュアルだった。
単なる「子ども向け」と侮ることはできない。作中に散りばめられた西洋魔術の歴史や儀式のディテールは、専門書顔負けの本格派。それでいて、5年1組のクラスメイトたちが繰り広げるリアルな人間模様が生々しい共感を呼ぶ。藤田香の美麗なタッチと石崎洋司の軽妙な筆致の化学反応こそが、学園ファンタジーというジャンルに金字塔を打ち立てた最大の要因である。