最大の物議を醸したのは、主人公であるアルスラーン自身の最期とその後のパルス王国の運命だ。艱難辛苦を乗り越え、奴隷制度の廃止など革新的な政治を行ってきた「解放王」アルスラーン。だが、彼は宿敵との決戦の末、致命傷を負って息を引き取る。さらには彼に後継者がいなかったことで、せっかく再興されたパルス王国は再び分裂と混乱の時代へと逆戻りしてしまう。
長年の読者が求めていたのは、困難を打ち破った先にある平和な国の黄金期だった。しかし提示されたのは、王の死と共にあっけなく崩れ去る儚い幻影のような結末だ。「これまでの戦いや犠牲は何だったのか」という徒労感こそが、読者に「ひどい」と感じさせた最大の要因と言えるだろう。報われない努力と、王国の崩壊という二重の絶望が読者の心に深く刺さったのだ。