白金青い池は、最初から全国区の観光地だったわけではない。地元写真家や一部の愛好家の間で密やかに語り継がれる隠れスポットに過ぎなかったこの池を一躍、地球規模の知名度へと押し上げた人物がいる。美瑛町在住の写真家、ケント白石氏だ。
彼が初冬の早朝、雪が降り積もる静寂の中で捉えた1枚の風景写真は、世界的テクノロジー企業であるApple Inc.の首脳陣の目に留まることとなる。2012年、Mac向けオペレーティングシステム「OS X Mountain Lion」の公式壁紙として世界中に配信された。極上の美しさを誇るデスクトップピクチャを目にした何千万ものユーザーが、「この青い異界は地球のどこにあるのか」と衝撃を受けた。
これを機に海外メディアがこぞって特集を組み、インバウンド観光の波が一気に押し寄せた。1枚の写真が持つ圧倒的な表現力が、地方の一角にあった治山設備を、世界が羨望するネイチャーツーリズムの聖地へと昇華させた象徴的な出来事である。