タイ伝統医学のルーツを辿ると、今から2500年以上も昔、ブッダの主治医として活躍した伝説の医師ジヴァカ・コマラパットの時代にまで遡る。彼が体系化した医療体系は長い歴史の中で脈々と継承され、現在その知識と技術の総本山となっているのが首都バンコクのワット・ポー(Wat Pho)だ。
医学的知見と仏教的な精神主義が融合したこの技法は、2019年にユネスコ無形文化遺産へと登録され、世界的にも高い価値が証明された。力任せの揉みほぐしとは全く異なるアプローチをとる。全身を流れる10本の重要エネルギー経路であるセン(エネルギーライン)に着目し、手のひらや指、ひじを使いながら絶妙な圧力でじっくりと刺激していく。身体の根幹からエネルギー循環を促すタイ古式マッサージ(ヌアボーラン)は、いつしか「世界一気持ちいいマッサージ」あるいは「二人でおこなうヨガ」と称され、心地よい施術の最中に深いリラクゼーション状態へと誘う。