法律の問題以上に深刻なのが、放置によって加速度的に進行する糞害と衛生環境の破壊である。鳩の糞は強い酸性を帯びており、建物の金属部を腐食させるだけでなく、乾燥して微粒子となった糞が空気中を漂うことで深刻な感染症の引き金となる。
特に警戒すべきは、真菌(カビの一種)を吸い込むことで発症するクリプトコッカス症だ。健康な成人であっても軽視はできないが、免疫力が低下した高齢者や子どもが感染すると、重篤な髄膜炎や肺炎を引き起こすリスクを孕む。さらに、クラミジア属の細菌が原因となるオウム病にも注意が必要だ。インフルエンザに似た高熱や咳から始まり、適切な処置が遅れれば重症化する事例が報告されている。ベランダという居住空間に隣接した場所での巣の放置は、目に見えないバイオハザードを家庭内に招き入れているに等しい。