時代が移り変わり、制作拠点が株式会社カラーへと移行して始まった新劇場版シリーズ。四半世紀という歳月は、表現者としての緒方恵美にも深みをもたらした。かつては痛みに身を焦がすことだけで精一杯だった芝居から、他者の痛みを受け止めて前へ進む少年の微かな成長を織り込む演技へと深化を遂げていく。
完結作となった『シン・エヴァンゲリオン劇場版』に至る過程で、庵野総監督と緒方の対話はより濃密なものとなった。シンジがどのような結末を選び取るのか。彼女自身の人生経験とシンジの成長が重なり合い、長きにわたる物語は奇跡的な着地点へと導かれた。