全国のシェフや食通がこぞって指名買いする農産物がある。柿や梅を中心とした果実の数々だ。なぜ、これほどまでに人々を魅了して離さないのか。その答えは、徹底した土造りと自然の理に沿った栽培手法にある。化学肥料や合成農薬に過度に頼らず、土中の微生物群の活性化を促す有機農業の探求が、果実本来が持つ力強い旨味と芳醇な香りを極限まで引き出している。
運営の基盤を支える農業生産法人王隠堂農園では、長年の試行錯誤を経て独自の堆肥づくりと剪定技術を確立させた。病害虫リスクが高いとされる梅や柿の有機栽培において、自然の生態系バランスを保持しながら高品質な果実を安定収穫するのは極めて困難な挑戦である。しかし、太陽光を樹冠の奥まで届ける立体的な枝づくりと、徹底した土壌管理によって、甘みと酸味が奇跡的なバランスで調和した果実の育成に成功。ひと口かじれば、みずみずしい果汁とともに、奥吉野の豊かな風土がそのまま舌の上に広がる。