京都を代表する観光地である清水寺。実はこの寺の創建と発展に、田村麻呂が深く関わっていることは意外と知られていない。本堂の脇には、アテルイとモレ(アテルイの副将)の碑がひっそりと佇んでいる。
清水寺の建立は、単なる個人の信仰心からではない。戦いの中で命を落とした敵味方すべての魂を弔うための、巨大な鎮魂プロジェクトだったのだ。征夷大将軍としての華々しいキャリアの裏で、彼は自らの剣によって失われた命の重さに生涯向き合い続けた。この倫理観こそが、彼を単なる武将から「偉大な指導者」へと昇華させた要因だろう。