かつては忌み嫌われ、口にすることすら憚られた事故物件だが、その社会的イメージはここ数年で劇的な変貌を遂げた。この潮目を変えた立役者の一人が、自ら数々のいわく付き物件を渡り歩いて生活を記録し続けた芸人の松原タニシだ。
彼の実体験を綴ったノンフィクションや、それを映画化した『事故物件 恐い間取り』のヒットは、タブー視されていた領域を一大カルチャーへと押し上げた。恐怖の対象でしかなかった空間が、「訳ありだからこそ格安で住める選択肢」あるいは「人間の生の痕跡を観察する対象」として、若い世代を中心にフラットに受け入れられ始めている。