画面に映った瞬間、ドラマの緊張感が一段階跳ね上がる。そんな圧倒的な存在感を放ちながらも、役柄ごとに印象をがらりと変えるため名前が一致しにくい50代の名脇役たち。長年のモヤモヤを一気に解消する主要キャストの横顔を紐解いていこう。
まず筆頭に挙げられるのが、唯一無二の脱力感と冷徹な眼光を自在に操る江口のりこだ。無駄を極限まで削ぎ落とした台詞回しと、飄々とした佇まい。TBS系『半沢直樹』で魅せた冷徹な白井大臣役の怪演は記憶に新しいが、市井の疲れたOLから底知れぬ悪女まで、彼女が画面に現れるだけで独特の緊迫感が漂う。
「薄幸の美女」というパブリックイメージを鮮やかに裏切り続ける木村多江も外せない。かつてサスペンスドラマを席巻した儚げな佇まいはそのままに、近年では内面に凄まじい狂気や執念を秘めた複雑なキャラクターを怪演。彼女がふと浮かべる微笑みの裏にある影が、物語のサスペンスを極限まで高める。
日常の空気感をそのまま画面に持ち込むリアリズムの旗手が西田尚美だ。モデル出身の洗練された佇まいを持ちながら、親しみやすい母親、切れ者のキャリア官僚、どこか秘密を抱えた隣人など、演じる役柄の幅広さは群を抜く。誇張のない自然体の息遣いが、作品全体のリアリティを根底から支えている。
そして、舞台と映画で培われた重厚な表現力で観客を圧倒する筒井真理子。理不尽な運命に翻弄される女性の悲哀や、日常が音を立てて崩れていく瞬間の歪みを、繊細かつ強靭な肉体性で表現し切る。彼女の瞳が揺らぐだけで、セリフ以上のバックストーリーが画面に立ち現れる。