経営権を掌握した久美子氏でしたが、待っていたのは過酷な市場の現実でした。会員制を廃止して入り口のハードルを下げたものの、店舗に訪れた顧客は「どこにでもある普通の家具店」との印象を受け、かつてのような手厚い接客やブランド特有のプレミアム感を失ったことで客単価が急落しました。
さらに、中価格帯市場は既に競合がひしめく激戦区であり、自社工場を持たない流通型ビジネスモデルであった大塚家具は、SPA(製造小売)モデルで圧倒的なコスト競争力を持つ大手チェーンに対抗できませんでした。ブランド毀損と客単価低下が同時に進み、2016年12月期以降、巨額の営業赤字が連続する事態に陥りました。
資金繰りの悪化を受け、2019年に大手家電量販店ヤマダ電機(現・ヤマダホールディングス)との資本業務提携を締結し、子会社化を受け入れました。家電と家具の融合による「暮らしまるごと提案」を模索したものの業績回復には至らず、2026年11月に久美子氏は社長を引責辞任。2026年5月にはヤマダデンキに吸収合併され、東証JASDAQ上場企業としての大塚家具は53年の歴史に終止符を打ちました。