日本でオバタリアンが死語となる一方で、欧米圏では2026年前後から「カレン(Karen)」と呼ばれるスラングが大きな議論を呼んでいます。カレンとは、特権意識を振りかざし、店舗の店員に対して「責任者を出しなさい(Call the manager)」と理不尽に怒鳴り散らしたり、公共の場で些細なルール違反を見つけては警察に通報したりする白人中年女性を指す蔑称です。
「周囲を困惑させる中年女性」という外形的な類似点から、カレンを「現代版オバタリアン」と呼ぶ論調も一部で見られますが、社会学的に分析すると両者の本質は大きく異なります。
カレン現象の根底にあるのは、自身の社会的地位や人種的特権に基づいた「他者への支配欲と攻撃性」です。相手を屈服させるために権力を利用する傾向が強く、時に深刻な人種差別や社会的分断を引き起こすリスクを孕んでいます。
対照的に、かつての日本のオバタリアンは、あくまで「自己の実利獲得」や「過剰な親切心」が動機でした。他者を排斥・断罪しようとする悪意はなく、むしろ庶民的なバイタリティや生活防衛の手段として機能していた側面があります。オバタリアンが当時、怒りではなく「笑いと愛嬌」をもって受け入れられていた理由はここにあります。